頭文字Dに憧れて、AT限定解除した話

頭文字Dに憧れて運転免許のAT限定を解除した。

頭文字Dに憧れて運転免許のAT限定を解除した。そう、大人になるまで私は頭文字Dを読んだことがなかったのである。読んだ途端人生が激変した。何あれ、高橋兄弟かっこよすぎか?ラインがクロスする!

実は高橋涼介に会いたくて群馬大学医学部に行った。FCは停まっていなかったので、アニキは家で作戦を練っているのであろう。

いや、本当は別件で行ったので引かないでほしい。

限定解除申込み

家に帰った私は、近くの教習所に行って70000円ほど払い、限定解除の申込みをした。運転の下手くそさはAT限定免許を取ったときに把握済みなので、「もし期間内に卒業できなくても何回か追加で受けられる保険」みたいなのに加入しておいた。

ちなみにこの時点でAT限定免許を取ってから5年以上経過しており、私はトイレットペーパーみたいなペーパードライバーだった。エンジンかけて?その前にブレーキ踏んで?サイドミラーってどこ確認するためにあるの?Dがドライブ?みたいなATの運転すら危うい状態である。

教習開始

そんな中、おじさん先生に連れられて私は駐車場に向かった。

「今どき限定解除か〜めずらしいね。実家の都合?軽トラとか?」

「いえ、趣味です」

「趣味?ハッハッハ、君おもしろいね!」

ここで何か勘違いが起こったのか、運転席に座らされた私は座席とミラーの調整を行ったあと、突然エンジンをかけさせられた。これは完全に、趣味って言ったから基礎知識があるものだと思われたね?まずいね?

「はい、出発」

「え?」

いやいやいやいや、足元にある3つのペダル何?いま踏んでいるのはブレーキとクラッチらしいんだが?左手にあるシフトレバーの使い方わかんないんだけど?

遥か昔に教習所の講義で習った気がするが、わたしATですし〜?と完全に聞き流していた。あの時に頭文字Dを読んでいれば…!

「はい、ローに入れる」

「ろ、ろ〜」

「一速だよ」

必死で頭の中の藤原拓海を思い出す。高速二速チェンジしていた手元は…

一速は多分これだ!

「そうそう」

よく見なくてもちゃんとどれが何速か書いてあった。そして、シフトレバー独特の感触を初めて知った。ちょっと感動した。

「はい、ブレーキ離して、アクセルを少し踏む」

「は、はい」

「で、クラッチをゆっくり上げる」

ガタガタガタガタンッ。車がめっちゃ揺れて停止した。えっ何?怖いんだけど?

「今のがエンストね〜。クラッチがうまく繋がらなかったんだよ」

えっMTの発車ってこんな難しいの?

その後四苦八苦しながら、わたしはなんとかとろとろとローで走り出した。

「じゃあ、クラッチ踏みながら二速に入れて」

「ふぁい」

もう余裕なんて欠片もない。私は足元のことなんてすっかり忘れてシフトレバーを二速に入れた。車がめっちゃ揺れた。

「今クラッチ踏むの忘れたでしょ、ダメだよ〜」

「す、すみません」

今思い返しても、あのときクラッチを踏まずになぜシフトチェンジできたのか不明である。確実に車のどこかにダメージを与えた気がする。

坂道発進

私が一番苦労したのは、坂道発進だった。

ATのときは、なんで坂道発進なんかするんだよこんなの必要?と思ってたけど、必要だった。

「はい、ハンドブレーキ。アクセル踏んで〜。半クラッチ。ハンドブレーキ解除」

「あばばばば後ろに下がっていくんですが」

「もっとクラッチ上げていいよ」

ここで坂をバックで降りきり、やり直し。

半クラッチとアクセルは問題ないのだ。しかし、硬いハンドブレーキを解除するときにどうしても体が傾いてしまい、アクセルを踏む足が上がってしまう。たぶんハンドブレーキを引きすぎていたんだと思うが、そんなもの当時の私は知る由もなかった。

なんとかかんとか坂道発進をクリアし、私は無事に限定解除をすることができた。しかし教官にはめちゃくちゃ心配された。

「今後MT練習できる環境はある?家族は車持ってる?」

「あ、はい、実家に(AT車が)ありますし、(叔父が)MT車を持ってます」

もう教習所はゴメンだと思った私は、嘘でもホントでもないことを言って逃げ出した。

限定解除に路上教習はない。これであとは届け出たら終わりである。

卒業後

その後私は、同じく頭文字D好きなかつての彼氏にほぼ強引にMT車をレンタルさせられ、様々なところを連れ回されて最終的に那須塩原から首都高と都内を抜けて池袋のレンタカー屋さんまで帰ってくるという偉業を成し遂げた。

ヤツのほうが運転時間が長かったのはもちろんなのだが、突然熱を出して人に首都高の運転を押し付けるのはやめてほしい。首都高怖いんだよ!

ちなみに一番キレたのは、軽井沢での渋滞である。上り坂でのトロトロ進む一番嫌な渋滞。お前な、進むなら進む、止まるなら止まる。頼むからトロトロ動かないでくれよぉ!こっちが何回クラッチ繋いでると思ってんだぁ!

いい加減ハンドブレーキを引くのも面倒になって、強引に発車しようとしたら失敗して後ろに下がってしまい、後続車をビビらせてしまったのは本当に申し訳なく思っている。ごめんね…わたし藤原拓海じゃないんだ…下手原下手海なんだ…

「MT車です!エンスト注意!」ってステッカーを真面目に探しているんだが、なぜかないんだなこれが。なぜなのか。

追記だが、MT車のレンタルを探している人が結構いるので情報を貼っておく。

HONDAのディーラーがMT車のレンタルをしているぞ!FITからなんかすごいスポーツカーまであるので、車好きの方はぜひ行ってみよう。ただし、今確認できているのはHONDA東京中央と埼玉、北海道だけである。県によって違うらしい。なかなかわかりにくいところにページがあるので、一応URLを貼っておこう。回し者ではないです。ただ大好きなだけ。レンタル時間が10時〜18時と短いのがネックなので、余裕を持った日数借りるとよし。

HONDA MTレンタカー

これでシビックを借りて、「ガムテープデスマッチだぁ!」と言いながら多摩湖周辺に行ったことがある。もちろんエアガムテープで。アウトオブ眼中だぜ!とか、やたらテンション高く多摩湖畔を回っていた気がする。

さすがに、「ダブルクラッシュといこうぜ!」は言わなかった。多摩湖にダブルクラッシュなんてごめんだ。