水上アスレチックでサスケみたいな派手な落ち方して後ろの親子にドン引きされた話

2019年4月12日

平和島あたりにあるアスレチックに行ってきた。正式な名前は忘れたが、平和公園だか平和の森だか、そんなのどかな名前の公園だったと思う。しかし残念ながらこのコラムはそんな平和でのどかなどうぶつの森では、ない。ここは狂気のヤーナム…もしくは火の無い灰が集まるサリ裏だ!

平和島と言えば競艇、その日も競艇開催日だった。コンビニで飲み物を買って彼氏と手を繋いで店から出たら、なんか知らんが変なオッサンにいちゃもんを付けられた。怒りとともに何かを伝えようとしているのはわかったが、何を言っているのか本当にさっぱりわからない。たぶん日本語をしゃべっていなかったと思う。

なお我々は彼にぶつかってもいない、ただ本当に店から出ただけだ。憎まれる理由があるとすれば、手を繋いでいたリア充☆だったことだろうか。

喚き散らすおっさんの最後の一言だけは、なんとか聞き取れた。「なんだお前はよぉ!」。なんだと言われても、私はこれから彼氏とアスレチックに行ってキャッキャウフフするリア充オブリア充だ。しかし「リア充ですが?」と、坂本ですが?みたいなノリで答えたら、根暗陰キャおじさんの殺意を刺激しかねない。オンラインマルチ対戦では礼儀も必要だ。不必要に煽ってくるやつはまぁ嫌いではないが撲殺する。私はリア充女子らしく、彼の後ろで縮こまっていた。しかし顔面の薄ら笑いだけは抑えきれなかった。

これ絶対競艇負けた奴じゃん!競艇で負けて、さらに隣にあるパチンコでも負けた奴じゃん!ウハハハハ搾取される奴ザマァ他人の不幸は蜜の味ィ!!

しかしリア充女子の私は沈黙を貫いた。彼氏が一言、「それはこっちのセリフですよ」と言ったら、オッサンはブツブツ言いながらそそくさと退散していった。言

い返されるとは思っていなかったのだろう。敗者は敗者らしくさっさと抜けろクズが。

律儀に二人でおっさんを見送ったあと、彼氏は私とそっくりの半笑いで言った。

「あれ絶対競艇で負けたよね。あと隣のパチンコでも負けたんじゃないかな」

こいつとは長くやっていけそうだと思った。

さて、公園についた。受付で券を買って入場。更衣室で着替え。事前に水上アスレチックの情報を入手していた私は、服一式と靴まで予備を用意していた。そこまでする必要あるかな〜?なんて舐め腐ったことをこの時は思っていたのだが、これがのちの私を救うこととなる。情報は武器。全ては情報戦。みんなコミケで学んだでしょう?

さて、アスレチックコースの入り口に着いた。コース順にアスレチックを攻略していく。

正直、地上のアスレチックは地味すぎて覚えていない。それだけ水上アスレチックのインパクトがすごかったということだ。水が絡むとだいたい怖くなるでしょ?ジョーズとかタイタニックとか怖いでしょ?まぁタイタニックはレオ様で全てが許されるところはある。

この写真はアスレチックに全く関係ありません

そんなこんなで水上アスレチックにやってきた。小さなイカダが縄で繋がれて浮いており、池の小島に渡って、それから帰ってくるというコースだ。

私の前に、小さな男の子がトントンと軽快にイカダを渡っていた。「簡単そうじゃん!私からやるわ」そう言って彼にスマホを預けた私は、イカダのコースに向き合った。それがサスケのスタートラインだとは知らずに。

こういうのは勢いが大切だ。立ち止まってアレコレしていたら、バランスを崩してボチャン。一気に行くぞ!私は大きく一歩を踏み出した。

イカダに片足を乗せた瞬間、違和感に気づいた。沈む。どこまでも沈む。男の子の時と違う…全く違う…!これは、計算外ッ…!

脳内でカイジが大汗をかいていた。しかし、漫画のように時は止まってくれない。このまま行くしかないのだ。私はなるべくイカダの真ん中を踏むようにしながら、バッシャンバッシャンと派手な水しぶきを上げながらなんとか小島へと到着した。

この時ようやく気づいた。私は踏み入れてはいけない禁域の島に足を踏み入れてしまったのだと…

ビシャビシャに濡れた靴とズボンの裾をそのままに、私は帰り道のイカダを見つめた。行きとは別のイカダが張られている。

これを攻略しなければ帰れない。ここは離れ小島なのだから。いや、死んだらスタート地点にリスポーンするのでは?待て待て、たぶんこの中継地点でセーブされてるからリスポーン地点はここだ…なんてことだ…オートセーブの罠である。

向こう岸で彼氏が早く戻って来いと急かす。すまない、心の準備をさせてくれ。イカダの真ん中を踏む、一気に行く。それを守れば…私はこのソウルを落とさずに生還できるはず…!

思い切って私は一歩踏み出した。そして、足がイカダの真ん中に乗らなかったことに激しく動揺する。

えっ!?なんで!?思いっ切り足伸ばしたのに!

そこではたと気づいた。イカダまでの距離が、行きよりも長い。ついでに言うと私の歩幅よりも長い。これはまずいまずいまずい…

2歩目は当然、さらにイカダの端になる。3歩目はさらに。ああ、神よ!無慈悲な!

4歩目で陸地だというのに、私は最後のイカダでバランスを崩した。池の周りには高さ30センチほどの短い柵があるが、イカダの正面だけ入口出口として途切れている。ああ、そこに行きたいのに…柵のないあのゴールへ、行きたいのに…

私の体は斜め左方向に傾いている。修正は不可能…!このままいくしかない!

私は作柵を飛び越えるべく渾身の力でイカダを蹴った。しかし当然ながら、物理法則に従い力の大半は水に吸収された。

陸地めがけて体が倒れる。真っ直ぐ行けば無事に着陸できたのに、私は柵のある左へ飛んでいるのだ。

陸地が近づく。そして、脛に強烈な衝撃があり、そこを支点にテコの原理で私は前のめりに倒れた。

ズシャァァァァア!なんて漫画みたいな擬音を使う日が来るとは思わなかった。しかしそれ以外表現しようがないのだ。なす術なく顔面から地面に激突した私は、柵へと強かにぶつけた脛の痛みで立ち上がれず、顔面泥まみれのまま四つん這いになった。

なんだよこれ!サスケか!?いやサスケよりひどい!サスケはもっとこう…怪我しないようにクッションとかあるんだよ!脛を支点に回転して地面とチューなんかしねーんだよ!

手近な木に縋り付きながら立ち上がると、私の次に順番待ちしていたお父さんと小学生くらいの娘さんが、ドン引きしてこちらを見ていた。

「だ、大丈夫ですか…○○ちゃん、ここはやめておこう」

私はゼーゼーと息を吐きながら、お父さんに真実を告げた。

「お子さんは大丈夫です…か、軽いから…」

しかし、顔面泥だらけのびしょ濡れ女が言うことなど信じるはずがなかろう。娘をこんな妖怪みたいな姿にするなんて、とてもじゃないができない!と言う勢いで、お父さんは娘を連れて進んでいった。

ガクガク震える足で振り向くと、彼氏が腹を抱えていた。そして私を指差して大爆笑。

「ムービーwww撮ってwwwwwおくんだったwww」

たぶんこの10倍くらい草生えてたと思う。

ああ、そうだよな、知ってるぜ。他人の不幸は蜜の味だもんなッ!!!てめぇも落ちてこいよこっち側へよォ!!!

コンビニで絡んできたおっさんの気持ちが、少しわかった気がした。

なお彼とは今もまだ仲良くやっている。文鳥と私と彼氏の三人暮らし中である。

〜追記〜

文鳥の親権を奪い、私は彼と別れた。というか振られた。その話は後日くわしく語ることとしよう。他人の不幸は蜜の味だろ!?聞きたいだろうお前ら!!